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ほとけさまのお話

2022/05/02 鹿の皮

ある日、お釈迦様は弟子たちにこんな質問をしました。

「歩いていると石でデコボコして歩きにくい道がある。どうしたらよいと思う?」

弟子たちはさまざまな意見を出しますが、良い答えがでません。続いてある弟子はこう答えました。

「世の中の道を全部、鹿の皮で覆ってしまえばよいのではないですか?」

するとお釈迦様は「そうだね。」とうなずいた後に、こう答えました。

「しかし、世の中の道を全て鹿の皮で覆うなんてことできるだろうか。それならば自分の足を鹿の皮で覆うほうが良いだろうね。」

つまり道路を舗装するより靴を履いたほうが良いということです。しかしこれは何も道路の話をしているのではないでしょう。

 

私たちの人生は思い通りにならないことばかりです。思い通りにいかない人生の一瞬一瞬に一喜一憂してばかりの私たちです。しかし思い通りにならない人生を思い通りにしようとするよりも、思い通りにならないことに一喜一憂する私の心を変えていこうとするのが仏教なのでした。

どんな事が起きようとも、すっと受け止めることができるような柔らかな心を持つことができたなら、そこには歩みにくい人生というのはなくなってゆくのでしょう。

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