ほとけさまのお話
2024/02/08 さよならは仮のことば
夕焼けと別れて ぼくは夜に出会う でも茜色の雲はどこへも行かない 闇にかくれているだけだ 星たちにぼくは今晩はとは言わない 彼らはいつも昼の光にひそんでいるから 赤んぼうだったぼくは ぼくの年輪の中心にいまもいる
誰もいなくならないとぼくは思う 死んだ祖父はぼくの肩に生えたつばさ 時間を超えたどこかへぼくを連れて行く 枯れた花々が残した種子といっしょに
さよならは仮のことば 思い出よりも記憶よりも深く ぼくらを結んでいるものがある それを探さなくてもいい信じさえすれば(「さよならは仮のことば」 谷川俊太郎)
私たちが別れの言葉としていう「さよなら」。しかし、先立つ人とのこの世の別れは決して永遠の別れではなく、むしろ今も私の中に生き続けるとしたら「さよなら」は仮のことばなのでしょう。
副園長