ほとけさまのお話
2024/05/17 賢者の贈り物
もうすぐクリスマス。デラはお金を貯めてきましたが、愛する夫ジムに贈り物を買うお金がありません。
この夫婦には宝物が二つあります。一つは祖父から代々引き継がれたジムの金時計。
もう一つはデラの美しい長い髪でした。デラは宝物の金時計にふさわしいチェーンをプレゼントしたかったのですが、とてもそんな高価なものを買うお金はありません。そこで、デラは自慢の髪の毛を売ることにしました。髪を売ったお金で買った金の時計のチェーンはきっとジムの金時計に似合うだろうと機嫌よく家に帰りました。家でジムの帰りを待っていると「髪を切った私を嫌いにならないかしら」とだんだん不安になってきました。帰宅して髪を切ったベラを見ると何とも言えない表情をしていたジムに贈り物のチェーンを渡しました。「驚かないで。あなたにプレゼントを贈りたくて、私の髪を売ったの。」それを聞いたジムは、ポケットから包みを出し「開けてごらん。それは僕から君へのクリスマスプレゼントだよ。僕が君を見て、戸惑った理由がわかるよ」そこには美しい櫛がありました。かつて二人で町に出掛けたとき、デラがショーウィンドーに展示されていたその櫛を見つめていたのをジムは覚えていました。ジムはその櫛を買うために、自分の宝物ものだった金時計を売ってしまったのです。「君に櫛を贈るために、あの時計は売ってしまったんだ」デラは泣出してしまいましたが、ジムはほほえみながらデラに優しくこう語りかけます。「僕たちのクリスマスプレゼントは、今すぐ使うには上等すぎるみたいだ。しばらくしまっておくことにしよう」二人はお互いが相手のことを想い、自分の大切なものを犠牲に贈り物ものをしました。しかし、それが今すぐ役立つことはありません。このことは、愚かなことにも思えるかもしれません。ですが、この二人こそが、『本当の賢者』なのでしょう。
(オー・ヘンリー『賢者の贈りもの』 あらすじ)
仏さまの慈悲とは自らのことを省みず、あらゆるひとの本当のしあわせを願ってはたらきかけていく心のことを言います。この物語は本当に相手のことを思いやる姿とはなにかを教えてくれるような物語ですね。
副園長