ほとけさまのお話

今年は巳年です。そこでヘビにまつわる「杯中蛇影」というお話を紹介いたします。

ある男が、友人を招待し自宅でお酒を飲んでいました。すると友人は、途中でお酒の入った杯の中に蛇の影を見ます。それから後日、ひどく体調を崩してしまいました。ですから友人は男の誘いを断っていましたが、男がその原因を尋ねると「酒の中に蛇がいた」と答えました。男はそんなはずはないとまた招き、お酒を飲んでいると、友人の杯にまた蛇の影が映ります。しかし、周りを見渡してみれば、壁に掛けてあった弓の影が杯に映っていただけでした。友人の疑念が晴れると、たちまち病気が治ったといいます。

私たちは、実際には存在しないものを勝手に思い描き、それに怯えていることがあります。仏さまは「あなたは死んだらお終いと思って怯えているかもしれない。でもそうじゃないよ。いのち終えたらあなたもみんなを導く仏になるんだよ」と本当のいのちの姿をおしえてくださるのです。