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ほとけさまのお話

2020/08/06 被爆から75年

 あるところにとりわけ美しい共命鳥という鳥がいました。共命鳥とは一つの体に頭が二つあるというお経に出てくる伝説上の鳥です。二つの頭はそれぞれカルダとウバカルダといいました。

彼らは「私こそ世界で一番美しい」といがみあい、いつも決着のつかない言い合いばかり。ある日、カルダは「あいつさえいなければ。いっそ殺してやろう!」と考えます。

ある日、カルダは木の実に毒を入れ、ウバカルダに「こんなところに木の実があるぞ。せっかくだから君あげるよ。」と一芝居うってでます。するとウバカルダは「おや、こいつにもいいところもあるじゃないか。」と木の実を食べてしまいました。

直後、ウバカルダは毒に苦しみ悶えます。「ざまあみろ。これで私が正真正銘、世界で一番美しい鳥になれるんだ。」と喜んだカルダでしたが、だんだん毒は体全体に回り、同じ体を生きるカルダをも襲いました。ついにはその一羽の美しい共命鳥は命を終えていきました。とそんなお話がお経の中にあります。

 

 広島に原子爆弾が投下されてから今年で75年になりました。本当は深くつながりあったひとつのいのちを生きている私たち。お互いを傷つけあう戦争は本当は自分を痛めつけることでもあるのでしょう。この世界から戦争がなくなるように、共命鳥のお話が教えてくれることを大切にさせていただければと思います。

 

副園長

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