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ほとけさまのお話

2021/06/30 捨身飼虎

ある慈悲深い王子は森の中で、飢えて動けない母虎と子虎に会いました。王子は母虎に王子自らの身体を食べさせて、母虎が子虎達にお乳をやれるようにしようと救う決心をします。目の前に体を差し出しても食べる元気もない母虎を見て、王子は崖から飛び降りて流れた血を母虎に飲ませました。その血を飲んだ母虎は気力を取り戻し、王子の身体を食べて子虎にお乳をやることができたのでした。

このお話を聞いた時、なぜ元気になれば人を食べてしまうかもしれない虎をそこまでして救うのだろうかと思いました。しかし、それは私も同じだったのです。自己中心的な生き方の中に誰かを傷つけながら生きる私は、人に危害を加えかねない虎と同じです。しかし、仏様のお慈悲は善いものだから救うという心ではなく、今、苦しみ喘いでいるものを救わずにはおれないという心です。

その事を知る時、好きな人・嫌いな人・役に立つ人・どうでもいい人…。色んなレッテルを貼り他人を見ている私ですが、どんな人であろうと目の前で涙を流している人の痛みに寄り添うことができればと思います。

副園長

 

 

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