ほとけさまのお話
2024/09/27 やさしいライオン
ある野外動物園に孤児のライオンがいました。そのライオンの親代わりは一匹の犬でした。いつもぶるぶる震えていたライオンの名前はブルブル、むくむく太っていた犬の名前はムクムクと言いました。
おんぶしたり子守唄を聞かせたり、ムクムクは犬と同じように育てました。ブルブルは優しくてムクムクより大きなライオンに成長しました。しかし、大きくなったブルブルは都会の動物園に移されることになりました。ブルブルはサーカスの人気者になりましたが何年経っても思い出すのはムクムクの優しい子守唄。
ある夜、遠くからムクムクの子守唄が聴こえました。ブルブルは檻を破って飛び出していきます。ライオンを見た町の人々は騒然として、ライフルを持った警官隊が出動しました。
ブルブルはムクムクを雪山で見つけましたが、もういつ命を終えてもおかしくない状況でした。ムクムクを抱きしめたブルブルでしたが警官隊に見つかり撃たれて命を終えてしまいました。
しかし、その夜、ライオンが背中に犬を乗せて夜空を飛んでいる姿を見たという人がいたのでした。(『やさしいライオン』やなせたかし)
いのちは何者として生まれたかではなく、何者として生きたかでしょう。ライオンとして生まれても、犬に育てられ、やさしいライオンとして生きたブルブル。誰かを傷つけながらしか生きられない人間として生まれながら、仏さまに育てられながら生きる私たちのいのちは「仏の子」なんですね。
副園長